アカショウビン

約十年ぶりに、念願の『アカショウビン』に出会えました。
十年前、家の前の電信柱のテッペンに真っ赤な体の鳥がチョコンと座っていました。
慌てて表に出ていくと、すぐにどこかに飛んで行きました。
それ以来の出来事です。

5月26日からほぼ毎日、「キュロロロロー・・・キュロロロロー」と鳴き続けます。
26日に初めて聞いたのは、朝5時半位、おそらく1km先の微かな声でした。
いつもは、6時半まで寝ていますが、この小さな声に私の脳が反応したのでしょう。
いつも聞いてみたいと思っていた記憶の中の音と見事に一致したんだと思います。
布団から飛び起きてカメラ片手に自転車を漕ぎました。
声を辿って行くと、家から南へ1km程先の小高い山からでした。
暫く鳴き続けていたかと思うと、ぱったりと止んでしまうので、正確な位置がなかなか判りません。
そんな事を何度が繰り返して、漸く30m以内まで追い込みましたが、深い森の為、結局声だけ録画して時間切れとなりました。

翌27日は、今度はものすごい大きな音量で目が覚めました。
家のすぐ横に川が流れていますが、おそらくそこに来ていたのでしょう。
慌てて、身支度をして飛び出しましたが、すぐにわからなくなってしまいました。
暫くすると、今度は西の山の方から聞こえます。
自転車で登ってみると、だんだん声量が大きくなります。
自転車を止めて、クリ畑を通り、その先の杉林の方から聞こえます。
藪の中を出来るだけ静かに進みながら、20m以内まで追い込みました。
でも、早朝はやはり音が響くんだろうなぁ?
すぐに気付かれて、離れて行ってしまいました。
転々と移動されると、道の無い山の中では、直ぐに距離を取られてしまいます。
この日も、音だけの録画になってしまいました。

こんなことを何日も繰り返して6月1日になりました。
この日も直ぐ近くで鳴いています。
今度は、300mほど先の東側の山です。
ここは、アクセスできる道が数本あるし、土地の人にも許可を取っているから、遠慮なくガシガシ行けます。
去年もクワガタ取りで入った事があるので、土地の様子も分かっています。
鳴き続けてくれるので、場所も特定しやすい。
急な山道を登り、栗林を抜け、竹が生い茂る先の木々の上の方から声が聞こえます。
依然、ひっきりなしに鳴き続けてくれます。
枯れた竹や木々をバキッ、バキッと折るたびにヒヤヒヤしながら近づいていきました。
慎重に慎重に歩を進めながら、漸く20m程まで近づけました。
さすがに、これ以上は近づけません。
気配で逃げてしまいそう。
三脚を出そうにも枝で身動きが取れないし、三脚ケースから三脚を取り出そうにも、ファスナーを開く音で逃げられてしまいそうな程、緊張感があります。
肩に提げたカメラを構えて電源を入れます。
近くに居るのは確かだが、姿は見えません。
だから、その辺を映します。
飛ばれても良いように動画で撮影をします。
後で、「この横切った奴がそうだよ。」と言えるように。
液晶を確認しながら、確実な方にズームを利かせていきます。
蚊に刺されてもガマン、ガマン。
鳴き止んだ時はビクッとします。「しまった、悟られたか!」と。
でも、再び鳴き始めてくれてホッとします。
声が遠くに聞こえたりするのは、奴があっち向いて鳴いたりするから。
木々の枝や葉っぱで視界は遮られています。
なかなか姿を確認できません。
画面をジーーッと凝視していると、奴が動いた時、微かに赤味がかったものが映りました。
「OK! 一気にZoom!」

かくして、「アカショウビン、召し撮ったり!」

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動画はこちらです。