ムジナ(穴熊)とのバトル

ここ毎晩仕事の後、ホタルの写真を撮りに出掛けています。
近くの田圃と山の間に流れる用水路の所で、ホタルが見られます。
昨夜は、この用水路に掛かる幅約50cm位のコンクリートの小橋から写真を撮ろうと思いました。
三脚の脚を一段だけ出し、橋から落ちないようにカメラをセットして、しゃがんで写真を撮っていました。

暫くすると、左後ろから「ミャー、ミャー」と猫の様な、でも一寸違う鳴き声が聞こえます。
いつまでも鳴いているので、何かなぁと思って振り向くと、電灯に照らし出されたのは、何と!二匹のムジナ(穴熊)でした。
どうやら、この橋が彼らの獣道になっていたようで、私が通せんぼをしていたわけです。
鳴いていたのは子の方で40cm位の大きさ。もう一匹は親で、一回り大きく60cm位の大きさです。
私が思わず立ち上がると、親の方はサッと逃げ出しましたが、子の方は「ミャー、ミャー、・・・」と鳴きながら私の足許から離れません。
じゃれたいのかと思い、思わず手を出し掛けましたが止めました。
いつまでも離れないので、橋を渡してあげよう思い、子の背後に廻りましたが橋を渡るどころか、相変わらず私に向かってきます。そうじゃれたいのではなく、威嚇していたのです。
そこで、私が「ワッ」と言って脅かすと、子ムジナは驚いて後に下がった瞬間、用水路に落ちてしまいました。

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この用水路は田圃側が垂直に近い高さ2m程のコンクリートブロックで、山側は笹が生えているだけなので訳なく這い上れそうです。
それでも、子ムジナは、もう火が付いたように鳴き出し、親を必死に呼びます。
「一寸マズイなぁ、窮鼠猫を噛むじゃないけど、親が向かってきたらシャレにならないなぁ」と思い、親を探すと7,8m先で赤い目が光っています。私は、二匹の様子を見ながら写真を撮りました。
子はというと、コンクリートブロックを登ろうとしますが、全く上がれそうにありません。
相変わらず必死に鳴いていますが、時々水を飲んだのか、こもった声になりました。
そして、その声がだんだん小さくなり、弱弱しくなっていきました。

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親の方を見てみると、1m半のところまで来ていました。

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道はやはり狭いので、親を追い払って退路を確保する必要があります。
しかし、脚で地面を蹴って脅しても、今度はそう簡単に引き下がってくれません。
三脚で振り回して追い回すわけにもいかないので、「ワッ」大声を出して、何とか追い払いました。
この隙にカメラと三脚を引き寄せて、車の所まで戻りました。
取り敢えず、三脚を車の傍に置き、十分な時間を取って、現場の様子を見に行きました。
子ムジナの声は聞こえません。死んでしまったのでしょうか?

電灯で親を探すと、橋に繋がる狭い道と車道の交差点に居て、こちらの様子を伺っています。
「早く親に行かせないと手遅れになるかも」と思い、親の背後に廻り、追い立てるように近寄って行きました。
親はスッと電灯の明かりから消え、橋の方に向かって行きました。
暫くすると、子の声が又聞こえてきました。
どうやら、親の存在に気付いたようです。
草を掻き分ける音が微かに聞こえます。

それから、二、三度、子の声が聞こえたけど、徐々に上流の方に向かったようで小さくなっていきました。
30分程の出来事でした。