ヘリコプター事故とテレビ取材

また、立て続けにヘリコプターの事故である。
今回は二人乗りの小型ヘリコプターRobinson R-22である。世界で尤も売れ続けている機体でもある。値段の手頃さ(?)、小ささ故にちょっとリッチなオジサン連中の憧れの的である。バブルの頃には、ある飛行場には何十機も駐機してあったというが、バブルが弾けた後は一気に海外に放出されました。それでも、一度は空を飛んでみたいといった少年的心を持ち続けている人達に支えられ、今でも全国に飛行クラブがあり、オジサン達の夢を叶えているわけです。でも、大体がオジサン連中である。時間と金には余裕があるが肉体的、能力的にはピークを過ぎてかなり下降しているわけです。ヘリコプターの場合、飛行機などの固定翼と違い平衡感覚が要求されます。でないとホバーリングが出来ません。飛行機は極端な言い方をすれば、フライトレベル(水平飛行)の状態であれば手放しで操縦できますが、ヘリコプターはそうはいきません。右手はサイクリック、左手はコレクティブ、両足はテイルローターをコントロールするペダル、耳と口は交信といった具合で全く気を許せません。集中して一時間も飛ぶとかなり疲れます。今回は、壱岐から一時間強のフライトの末の事故のようです。壱岐で救助訓練などをされての後だったし、かなり疲れていたのではと思います。目撃者の話では、電線より低い高度の後の突然のダイブなので、どこかが電線などに引っ掛かったかもしれません。あるいは、目撃者の話でローターがゆっくり回っていたというので、①エンジントラブル ②クラッチ(エンジンとローターを繋いでいる)のトラブル ③急激なコレクティブの引き上げ(ブレードのピッチが立ち、その分、急激な空気抵抗を受け、ローターの回転が止まる) 私としては、もしこの目撃者の話が正しいなら③の可能性が高いと思う。下降している機体に乗っている人間の本能的な反応として、コレクティブを引き上げで下降速度を緩めようとするのは当然なのであるが、これが急激にやりすぎてしまうと逆に失速を招いてしまう、実に厄介なところである。
今回の事故された方は知り合いではないのですが、R-22をよく知っているという立場でローカルテレビの取材を受けました。取材ではちょっとここまで言うのはマズイかなぁと思いながら言葉を選んで話しましたが、無難に編集されて安堵しました。