掛け時計の修理をしました

かれこれ二十年以上前に頂いた掛け時計を修理しましたので、記録として残して置きます。

(対象物)シチズンの四角い掛け時計です。

(現象) 秒針は動くが長針と短針が動かない。(必ず7時38分で止まっている)

(推測) 7時38分という駆動系に尤も負荷が掛かりそうな位置で止まっていることから、秒針を動かした歯車の力が長年の使用により、長針を動かそうとする歯車に伝わっていないのでは。

(対策) 長針のバランスをとってあげることで、長針の負荷を下げてあげる。こうすることで、軽い力で長針を動かすことができる。長針が動くと、恐らく短針は動くだろうと思うので、先ずは長針に対してのみ対策を試みる。


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これが、その時計です。
テーブルの上に寝かせて置くと針に掛かる負荷が少なくなるためか、
動き出しました。






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平成5年1月とあります。
もう22年以上動いているわけですね。
恐らく、その頃から流行っていた長寿命時計なのでしょう。
ムーブメントも薄くてリチウム電池駆動でした。
電池交換の記憶も無い程です。




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裏の6か所のネジを外すと外装パネルが外れて、針が剥き出しになりました。







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先ず、秒針を引き抜き、次に長針を引き抜きます。
バランスを取るための重りとしてM4の座金を2個使用しました。
2個の座金を眼鏡型のように少し重ねて、ボンドでくっ付けます。
また、長針の色に合わせて、アクリル絵の具で黒く塗りました。





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(長針を裏から見る)

先程の、眼鏡型の座金を長針の軸に留めます。
M4の座金を使ったのは、手元にこれしか無かったためですが、偶然にも長針の軸にも丁度入りました。そこで、両者を両面テープで固定しました。




イメージ 6(長針を表から見る)

表から見ても、黒く塗ったお陰と丸い座金のお陰であまり違和感が無いように思います。長寿命を謳うだけに、長針の重さは家庭用デジタル秤では"0g"でした。ムーブメントも20年前の製品とはいえ、極力薄く作ってあります。従って、歯車も想像を絶する程の薄さなのでしょう。長時間の使用では、たわみ、ゆがみ、すり減りも起こったのではないでしょうか?


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無事、修理完了です。
両面テープが剥がれない限りは大丈夫でしょう。

修理を依頼してきた親父は、どこを治したかわからないようです。
アッ、説明しても理解出来ないだろうからしません。
止まったら、「寿命、寿命」と騒ぐだけのタイプですので。